今更だが映画「俺たちに明日はないッス」の感想を書く。

向井康介脚本。タナダユキ監督作品。R15。

性春映画と書いてあったので、笑えて少し泣けるのストーリーを予想してたら真っ向から裏切られてしまった。女性とヤリたいことしか頭にない男子高校生を中心に、17歳の高校生達の悶々とした思春期の恋と性をつづる青春映画。タナダユキが企画を持ち込んで映画化を実現させたそう。

まず、主題歌が銀杏BOYZ「17歳」。これは、往年のヒット曲である南沙織のカバー曲なのだが、あったはずの青春の甘酸っぱさが峯田君の歌声には皆無だ。入っているのは叫び。この主題歌のままの映画だった。

男子高校生ってさ、全てのことに関して欲求不満なのに、たった「これだけ?」なことがデカい。コンビニのお釣りで美人の店員さんと手が触れただけで1日ハッピーだったりするんだよね。女子には分からないだろうけど。

男子は「ヤりたい」女子は「好きな人とヤりたい」。男子がヤリたいヤリたいと女性に強引に迫っていくけど、逆に女性から迫られると萎縮しちゃったり、変な所でピュアな男子の生態がリアルで笑ってしまった。向井康介の脚本は好きだなぁ。タナダ監督がこの人に脚本を任せたのは正解。(「リンダリンダリンダ」も見事だった。)そして、それをタナダユキが見事にロマンポルノ風に昇華させた。

17歳男子って、言葉で説得できず行動・叫びでしか表現でいない、少年のもどかしさそのもの。一方、17歳女子は、そういう男子に見切りをつけていく中で1人の男子と向き合う構図。男子はそういう大人がうらやましく、また女子にそういう扱いをされるのが嫌でしょうがない。結果、意地を張る。モテなくてもかっこつけて意地張らないとやってられねぇんだよ、高校生って。だって、3年間そこで過ごすしかないんだよ。些細な噂があっという間に広まる狭い空間。そんな所には、根を下ろしたくはない。どこか刺激のある場所には行けないから、刺激のある出来事を望む。慢性的な欲求不満状態であるから、目指すは3大欲求の内の未知である「セックス」になる。そんで、意地張って強がっていくんだけど、頭の中は馬鹿な妄想で溢れていて、気付いたら女の子に翻弄されちゃってるんだ。

非常に淡白な生活の中で性や異性に関してにだけ執着心がある。それがタナダ監督の「17歳」なのかな。童貞をこじらしている。そーゆーヤツは強がりなんだよ。でも、それが性春。性春とは「体液」。にじみ出ている「体液」。爽やかでないけど、どろどろもしていない「体液」だと思う。

タナダユキの作品は、人間の痛さと弱さを脚色せずにそのまま映している感じがする。だから、リアルに感じるのかもしれない。

とりあえず、主演した6人の役者魂も凄かった。ネタバレかもしれないけど、キスやセックスのシーンがありまくり。遠藤君はD-BOYSの主力がこんなシーンに挑戦!三輪子ちゃんは9nine卒業しちゃって悲しいの。

あとは、この「男子」「女子」って言葉の響きがいいよね。甘酸っぱくて。