今更だが麒麟「かわしまんざいたむらいぶ」の感想を書く。

去年の単独ライブのDVD。

去年のM-1において、麒麟は残念ながら準決勝敗退であった。この敗因は何故なんだろう?例えば、「新鮮さが無くなった」「調子が悪かった」「ネタ選びに失敗した」などが挙げられるのだろうか?しかし、このDVDを見る限り、このようなことが全て生じたとしても、決勝には進出できる漫才を披露していた。

麒麟=漫才」というイメージがある。実際、麒麟がテレビでコントを披露したのは、笑神降臨が初めてだった。しかし、単独ライブにおいては最初と最後の2本のみ漫才であり、コントの方が本数が多いことも少なくはなかった。特に、前作「ジラフ」では漫才は1本しか披露していなかった。しかし、今回のライブは、そのタイトルどおりネタ5本が全て漫才であった。そして、その5本全てM-1決勝で披露できるクオリティを備えていた。結局、この漫才はM-1ではなく年末年始特番で披露するはめになってしまったのだが、決勝で見たかったものである。

このDVDの漫才には、それまでの麒麟の漫才とは少し違っている。それまでの麒麟は、川島の実況に田村が乗っかるという「実況漫才」形式であった。しかし、このDVDに収録されている漫才は全て「しゃべくり漫才」だ。

例えば、去年の一部のお笑い好きの間で話題になった「最後の晩餐」。これは3本目の漫才である「言い争い」の中の1パートを切り取ったものだ。「桃太郎VS金太郎」「ささくれVS日焼け」の流れがあって「カレーパンVS味噌汁」に繋がる。この漫才は、互いの主張を相手に一歩も譲らせない“議論”がテーマだ。互いに一歩も譲らずに、独自の理論を展開し、相手の主張にいちゃもんをつけていく些細な言い争い。その過程で、オードリー的な仲直りを迎えたと思ったら、また些細なきっかけで言い争いが始まる。そして、互いの強がり自慢が始まったりする。まさにしゃべくり漫才だ。

そんな中、特に秀逸だったのが、1本目の「怖い話がしたい」である。これは、田村の怖い話に川島が演出を手掛けていくというもの。麒麟の弱点として「田村のしゃべりが滑舌が悪かったり、演技力不足で棒読みになってしまっている」という評価がある。そのために、今まで麒麟は「川島の実況に田村が翻弄される」実況漫才をしてきていたのだろう。しかし、この漫才はそのような世間の評価を逆手に取り、一段階レベルを上げたものだ。田村の滑舌の悪さ・棒読みを「怖い話をしたいけど出来ない」という設定を与えてあげることにって、気にならなくなる。川島の演出は、従来の麒麟通りに素晴らしい出来になっている。M-1でも、最後の晩餐やくどい説明でなく、これを披露すれば良かったのに…と思った。

しかし、2本目「シックスセンス」を含めた前半3本が長尺だったのに比べて後半の「テロップをつける」「くどい説明」は4分程度だったんだよねぇ。おそらく、M-1用で準備していたヤツだったんだろうなぁ。それで、結局「くどい説明」を遣り通した。

このDVDを見終わった時に、麒麟M-1を卒業したのが残念でたまりませんでした。確か、今年が10年目だったはずなんだよなぁ。参戦して欲しかったです。これからも漫才を極めていって欲しい。

幕間の映像は相変わらずクオリティ高い。

最後に、僕は漫才終わりの川島さんの綺麗なお辞儀が好き。

尚、漫才のタイトルは僕が勝手に名付けたタイトルです。