M-1グランプリ2009の感想

批評ではなく感想です。
ナイツ「自己紹介」
トップバッターの重圧を背負わされたナイツ。彼らが選択したのは「ヤホー」ではなく「自己紹介」だった。ヤホーを何故やらなかったのか?それは、トップバッターだったからに他ならない。ショーレースという競技の中で、圧倒的不利なトップバッター。そして、M-1決勝は客ウケが最重要事項として存在している。そのためには、まずお客さんを暖める作業をしなければならない。そのため、彼らは寄席で培われた「自己紹介」ネタをすることで、客の笑いのハードルを下げた。そして、後半にかけて手持ちのネタの中の強烈なボケをピックアップして詰め込むことで一気に逃げ切りを図った。素晴らしい構成だったと思う。点数が高かったのはトップバッターなのによくやったっていう上乗せもあっただろう。88点

南海キャンディーズ「ストーカー」
返り咲きの南キャン。ネタは有名なストーカー。僕は、このネタは既に何回も見ているのだが、おそらく、おそらくであるが「山里のツッコミはほとんど新しいフレーズになっていた」。そして、その言葉の刃は確実に研ぎ澄まされていた。ただ、やはりしずちゃんインパクトが無くなってしまった。昔はしずちゃんインパクトに山ちゃんが置いていかれていた印象だった。しかし、それは面白くもあった。しかし、今は山ちゃんのツッコミにしずちゃんが置いてかれている感じがする。とりあえず、しずちゃんは髪の毛伸ばした方がいい。あと、M-1の傾向として、舞台を広く使う際の移動中に沈黙が入ってしまうと評価が低くなるというのはある気がする。90点

東京ダイナマイト「格闘技インタビュー」
しゃべりながら来るツカミ好き。プロアクティブとか堪らないけどなぁ。吉本入ったからってらしさがなくなっている訳じゃない。去年のモンエンと同じでボケ7個くらいしか無かったんじゃないかな。ハチミツ次郎の話では2010年焦点合わせていたら1年早くなっちゃったらしいので、来年に期待。だって、漫才やりたくて舞台に立ちたくて吉本に来たんなら、その心意気は相当なもののはず。ただ、あの間があってこその東京ダイナマイトだからねぇ。かといって、ボケが大爆発するタイプでもないし。M-1となると厳しいのかなぁ。しかし、松田好きだわ〜。87点

ハリセンボン「煮物のおすそ分け」
序盤、春菜カミカミでこっちが心配してしまった。去年の敗者復活でもそうだったんだけど、中盤で、はるかが切れて春菜が泣く展開はイマイチな気がする。1シチュエーションボケで展開がはるかキレるのみ。そして、並列ボケは長尺かなぁ。バラエティは素晴らしいんだけど、漫才となるとイマイチだなぁ。これなら、ノンスタ・ハマカーンをあげてくれよ。75点

笑い飯鳥人
これは凄いネタだ。ぶっとんだシチュエーションだから、それだけで笑えてしまうから、そこからの展開もだれずに笑いを積み重ねられる。「鳥人が話しかける」1シチュエーションボケなんだけどテンション高くしたり、「また来る、また来た」というフレーズを入れることで、物語としても展開している。ここが、ハリセンボンとの大きな違いなんだよなぁ。ハリセンボンはボケが1個1個独立しているから、1回1回リセットされてしまうんだけど、笑い飯はその1シチュエーションの中で「1回目の出会い」「2回目の出会い」と物語が進行し続けている。そして、その中で「人鳥」とかの裏切りもあったりする。これは大きい。98点

ハライチ「ペット」
笑い飯に一気に盛り上がったのでヤバイかなぁ〜と思った所で「CM挟んで良かったですね」かよ(笑)いや、すごいわ。そして、「ペットを飼いたい」と言うまでに時間をかけ、その場の空気を一旦リセットさせてていく。そして、初めは説明が必要な長尺のノリボケから始まり強烈になっていく、後半は短尺やテンドンを織り交ぜスピード感を演出していく。いや〜、演芸大賞の時と比べるとえらい違い。91点

モンスターエンジン「結婚」
フルモデルチェンジというより、M-1意識して手数増やしたって感じ。しかし、手数もハライチに比べると少ないし、笑い飯の大爆発もあったので。上手いとは思ったけど、こじんまりしてしまった印象。去年の方が良かったかな。これなら、銀シャリ・千鳥上げて欲しかった。78点

パンクブーブー「クレーム」
並列ボケだけど、1つ1つの破壊力が抜群だった。ノーミス。お手本のような漫才コント。手数もナイツと同じくらいあったと思う。M-1の歴史が作り上げた漫才だなぁ。アンタッチャブルっぽいかもしれないけど、今は漫才コント主流だから。正統派現代漫才でしょう。クラシカルです。94点

NON STYLE「ヤンキー」
敗者復活の出来を見て、オリラジやPOISONに次ぐ3番手じゃないかなぁと思いました。そして、敗者復活は観覧審査員が1人3票の投票システムを持っていたので、とりあえず1枠ノンスタに入れたというのが真相だと思います。去年のオードリーのように「誰がどう見ても」はいなかったので。そのため、このネタをやると分かった時「あ〜、ナイツが3位だな」と思いました。しかし、ビックリした。毎年、敗者復活組って必ず全く同じネタをやるんですよ。もうずっと。ノンスタは同じネタでしたよ。しかし、ボケの手数を増やしてきた。それも相当数。なのに、構成が崩れない。このネタだったら納得。ただ、紳助も言っていたけど石田が漫才をやめようとする辺りからは確かにダレた。92点


最終決戦
NON STYLE「峰打ち」
う〜ん、2本目しっかり用意していたんだなぁと思うけど、ここは、イキリネタやって欲しかった。同じタイプなので2本連続となると、1本目ほどの勢いが無いのが露呈してしまった。太もも叩きをなくなったことで、テンポは確実に良くなった。やっぱり、去年はテンポ悪くても手数増やしたんだろうなぁ。去年が「勝つ漫才」で今年は「やりたい漫才」をやったんだろう。でも、だからこそイキリネタを…という思いはある。連覇できるネタではない。89点

パンクブーブー「弟子入り」
本当にお手本だなぁ。何度見ても飽きない漫才。95点

笑い飯「野球・ラグビー
野球の段階では、こりゃ笑い飯かなぁと思った。けど、このネタで4分やり切れるか?よ思っていたらラグビー始まって。あぁ…と。初期の代表作なので、テンポは多少遅くなってしまっている。ここで、松本と紳助の顔が映ったけれど「おまえら、何してんねん」と思ったんだろう。誰もが思っただろうけど。去年のオードリーのネタパターンを変えたのが失敗になったのと同じミスなんだろうなぁ。そして、リターンズでは「何でそのネタやらなかったの!」っていう漫才するんですよ、きっと。というかさ、笑い飯は優勝に寄せたネタはやらないんだよ。でも、優勝を拒んでまで自分達のスタイルを追求している訳でもない。優勝するためにこのネタを選んだだけ。だって、このネタってマリリン・モンローと馬鹿馬鹿しさ・しょーもない感は代わらないじゃないか!笑い飯にとって、優勝するためのネタだったんだよ!ただ、大失敗だけど。86点



点数は被り無いようにしました。パンブーが満票は驚いた。ノンスタに1〜2票は入ると思ったけど。

来年も楽しみです。