読書のススメ

島本理生ナラタージュ

「リトル・バイ・リトル」でもそうだったけど、何気ない日常の中に、登場人物の心情を織り込むセンスが素晴らしい。

恋愛小説って、「互いに素直になる」「気持ちに正直になる」みたいな展開が一般的だけど、それだけじゃないんだよ。

恋愛って「自分の居場所を探す」という行為なのかもしれない。そこには、積極的な愛じゃなくて、1人では生きていけない2人の姿があった。恋愛は人を幸せにするものなのか、それとも不幸にするものなのか。成就する恋、しない恋もある。それが、自分にとって良かったのか悪かったのか。それがわかるのは、恋愛関係が終わって時間が経ってからかもしれない。恋愛って矛盾だらけ。だけど、心の中じゃ矛盾じゃない。そして、自分の中に、もう2度と手放す事が出来ないであろう荷物を抱えて生きていくことも悪いことじゃないのだ。

ただ1点。物語の中の衝撃的な出来事が必要だったのか?もっと違う方法があったのでは?とも思う。



『子供だから愛とは違うとかじゃなくて、子供だったから、愛してるってことに気付かなかったんだよ』