漫画のススメ

面白い漫画を見つけたので紹介します。

Boichi作品集HOTEL

最近のSF漫画って、SFを主軸とした上でエンターテインメント性を重視し過ぎていたのかもしれない。だから、現代のSF好きは漫画ではなく、小説に走っていた。それは、重厚な世界を感じたいから。しかし、違うんだね。重厚な世界観を漫画というイラストで描く事が出来たとしたら、それは壮大なものになる。これは僕の勝手な造語なんだけど、「極彩色SF」と呼びたいと思う。

SFの魅力は「センス・オブ・ワンダー」。藤子・F・不二雄はSFを「すこし・ふしぎ」と呼んでいたけれど、これは端的にSFの魅力を表している。センス・オブ・ワンダーというのは、簡単に言うと「不思議に思う行為」。まさに、1月のLifeのテーマ「未知との遭遇」で佐々木敦さんが主張していたことだ。不思議って尽きる事が無い。不思議の存在を見つけると、その不思議の存在自体が不思議になるから。

表題作の「HOTEL」はSFの入門書としても良い。題材は、地球の温暖化により人類が絶滅してからのAIの行方を描く、SFの定番ネタ。展開にも意外性はそれほどない。しかし、画力・構成力・コマ割りが素晴らしく、スケールが段違いで大きくなっている。壮大だ。感動する。

その他には、卒業まで待ち担任教師と結婚した直後に、奇病のため眠り続けた少女が目覚めたが余命は3日で…という「PRESENT」(個人的にはこれが1番好き)。上記の2作品の感動が一気に削がれる、全滅したマグロを探し続けた結果、地球を救っていくコメディ「全てはマグロのためだった」などを5作+おまけ4作が収録。

著者であるBoichiは、SF漫画を描くために、わざわざ大学で物理を学んだそうだ。こういう気合の入れ方をする人の作品は、面白いに決まってる。

値段は890円と少々高め。ですが、是非読んで下さい。私は、中野ブロードウェイで400円で買いました(笑)